文化屋雑貨店が「第1回文化屋雑貨点を開催

【INTERVIEW】文化屋雑貨店が100名以上のアーティストと共に「第1回文化屋雑貨点」を開催

雑貨という概念を定着させた伝説のショップ「文化屋雑貨店」が、100名以上のアーティストらと共に限定復活する「第1回文化屋雑貨点」を開催中。

会場は東京・神田のカフェ&ギャラリーTETOKA(手と花)で、期間は7月1日(金)~7月31日(日)まで。また、本企画のプロデューサー セクシーキラーによるオリジナルかき氷も販売する。

今回は、「もしも、あなたが文化屋雑貨店のバイヤーであったなら、どんな商品を置きたいですか?」というテーマのもと、店主・長谷川義太郎が出会った100名以上のアーティストや文化屋雑貨店に所縁のある人々が参加。それぞれがオリジナル作品やセレクトしたアイテムを出品し、期間中にも絶えず変化していく。

文化屋雑貨店は1974年渋谷に創業。ポール・スミス氏が来日の度に訪れていたのは有名な話で、各界のデザイナーやクリエイター、アーティストが影響を受けた雑貨屋である。40年に渡り日本の雑貨シーンをリードし、惜しまれながらも2015年 原宿にて閉店。今回の第1回文化屋雑貨点は、店舗を持たず人の繋がりで広がっていく文化屋雑貨店の新しい試みとなっている。

そんな同店について、文化屋雑貨店の店主・長谷川義太郎氏にインタビュー。同企画から雑貨のこと、アート、そして生き方までたっぷりと語って頂いた。

また、ファッションメディアということも意識してくださり、デザイナーとの裏話や、雑貨とファッションの関係など、聞き逃せない言葉も多数。こちらでは一部を紹介し、全編は是非ムービーでご覧頂きたい。

 

第1回文化屋雑貨点について

− どうしてこの企画を?
お店を40年やってきて、極端に言うとずっと待っていなきゃいけないんですよ。それがお店がなければ色んなところに飛んで行けるということで、それで外に行こうと。40年間ずっと待ってなきゃいけないというのは、大変なんですよ!概念としてはそういうことで、それをひっくり返してみたいと思ってね。

− 第一回とありますが?
企画をやってくれたセクシーキラー君の考え方ですが、第一回とあると2回目ありそうに見えるじゃないですか。そこがうまいんですよ、あいつ(笑)。だから第2回はあるかないか分からないわけですよね。

− 参加者は自身で選んだのですか?
そうですね。ほとんどそうだけど、選んだ人が関連を持っていたり、文化屋雑貨店は自分が通ってきた道みたいな感じなので。松本 弦人さんとか、アートディレクター 角田 純さん、スタンダードブックストアの中川さん、ナガオカケンメイさん、graf の服部さんとか、みんな40~50代くらいなんだけど、文化屋雑貨店を通り過ぎることで、次のデザインのキッチュなものという概念を知ったとか、通るか通らないかで全然違うみたいな感じだったらしいんですよ。でも、我々にとっては全然わからない事じゃないですか。

それがお店を辞めたらそういう人からどんどんオファーが来たんですよ。完全に個人になっちゃうと声が掛け易いんでしょうね。だから今回の人達はほどんどお店を辞めた後に知り合った人なんですよ。だから面白いですよね。全然違う分野の人達じゃないですか。隣の中華屋のおじさんが描いた画もあるんですよ。それで、今並んでるのは全部同列でしょ。その概念で雑貨という括りをしてみたんです。本当なら有名な人の名前は大きく書いて、中華屋のおじさんは書かない方がいいわけです。でも同列にすることで、おじさんの画の方が売れたりするんです。それが我々が目指してる雑貨なんですよ!あとは、アートとかデザインという話は置いていて、雑貨としてものを選んだという感じですね。

− 改めて文化屋らしさとは?
そういう人間の接点みたいなものでみんなが動いているんであって、本当はもので結ばれているわけではないんですよね。だから自由に生きるってことですよね。自分たちで枠を作って、その中に納まっていこうって人が多いからね。外へ外へ行ったわけですよ。

雑貨について

− 雑貨という言葉
雑貨って、遡れば例えば雑器の縄文土器までいっちゃうんだけど、そうじゃなくて、今の雑貨の概念は文化屋ができたからできちゃったみたいなもんで。僕らが渋谷にお店を出した時は、おじちゃんおばちゃんが「ポリバケツないの?」とか「ホースないの?」とか言ってくるんですよ。雑貨店と書いてあるだけで、昔のよろず屋を想定する概念だったんですよね。だけど今は雑貨というと、ファンシーとか、バス用品とか色々あるじゃないですか。ビックリしたのは、デパートでエルメスのスカーフが”ファッション雑貨 バーゲン”と書かれていて、エルメスも雑貨なんだ~!と思って。そういう雑貨という新しい概念が生まれたのは文化屋以降なんですよね。

だけど、しょうもないって有名なんですよ文化屋は。なんの評価もされてないんですよ。だけど、クリエイターの人達がみんな文化屋で育ったって言ってくれて。だからそれだけですよ。

他は、他者が作り上げたもので何かが構成されてるんですよ。極端に言うとお金がたくさん儲かるっていうか、金額でランクができてるわけですよ、日本はバカだから。違うんですよ!だからクリエイターで、一流のところってのは面白くない。外に出てみればわかるけど、上とくっついてる奴らはみんなつまらない。売る方と密接にくっつき過ぎですよね。

− 雑貨の魅力
魅力ってのは、僕らがやってたから語ってもしょうがないんだけど。ただ、他との関連ですよね。

ファッションとかデザインとか色んな分野があるじゃないですか。それの何かが接続される接点みたいなもの。ある意味ではその点を、今回の雑貨点の点にしてるんですけどね。人プラス方向性みたいなものがここの一点に集まることで、みんなが繋がるわけですよ。

そうすると店がなくてもいいわけですよ。前は点ていうのが店だったけど、今度は点々でいいわけ。それでみんな集まってきたり、そっから去って行ったり。だから魅力っていうのは、ある意味では雑貨そのものの魅力ではなくて、どう扱うかの魅力なんですよね。

だからファッションの中にそれを入れ込めば、ファッションがもう一段よくなるかもわかんない。ちょっとプラス材料みたいなことだと思うんです、主役ではないような気がするな。

− ファッションとの関係
あの頃のファッションのメーカーさん、洋服屋さんは洋服だけををやってたんですよ。そこに文化屋ができて、鞄は作るわ、靴下は作るわ、帽子は作るわ、サングラスは仕入れちゃうわ、ネクタイは細いの揃えちゃうわ、全部やっちゃうわけですよ。そうすると彼らのファッションにハマっちゃうわけです。それで自分たちの服に文化屋の靴下を合わせて売るわけですよ。それが40年前という時代でした。

我々がやったことによって、少しづつメーカーさんがバッグを作ったり、靴下を作ったりオリジナルをやるようになったんですよ。それをやることによって、バッグ屋さんが潰れ、ネクタイ屋さんが潰れたりしたわけで。一番悪いのは文化屋なんです(笑)。やっぱり自分たちの服に合ったアイテムが欲しいじゃないですか。それを彼らはできなかったんです。先に文化屋がやっちゃんたんですよ。だからすごく大きくファッションとの接点というのはそこなんです。

別にファッションをやってた訳じゃないんです。一番面白い鞄をやったわけです。それが3WAYのバッグだったり、スタイリストバッグだったりを作ったんですけど、どれも他の企業がマネして売って、その会社はすごく大きくなりましたよ。あとで謝りに来ましたけど。

ファッションという範疇だと、当時のバッグでは合わないわけですよ。それがさっきのバッグだとピッタリ来るじゃないですか。だから、ファッションと雑貨の原点みたいなもののくっつけ訳をやったんです。だけど何にも賞も頂けないんです(笑)。ただただ、ものをその時に数売ったっていうことだけなんですよ。

でも、その頃初めて広島に行ったら、うちのバッグを持ってる学生がぼこぼこいるわけですよ。うわぁ~!!って感動しましたよ。そういう喜びがあるからずっと文化屋やってるんですよね。誰がどう儲かるかは関係ないですよ。ただ何かを変えていかなきゃダメだよね。

文化を作り出すこと

これまで各界のクリエイターに影響を及ぼして来た文化屋雑貨店が、来る人を待つ店から、会いに行く点へと、新たなスタートをきった。

雑貨という概念を作り出した本人が語る、”雑貨はどう扱うかが魅力で、ものではなく人が繋がるもの”という発想は、単なる商品・デザインの域を脱し、次の雑貨像を作り始めたといえる。

また動画中で語られた、若手の才能をケチくさくせず伸ばす事、そしてクリエイターは売り手から離れなきゃいけないということ。次々と新しいものを提案し、変えてきた人の言葉には、文化の作り方へのヒントが詰まっている。

第1回文化屋雑貨点
期間:2016年7月1日(金)~7月31日(日)
定休日:水曜日
時間:12:00~20:00
会場:神田TETOKA
住所:東京都千代田区神田司町2-16-8
電話:03-5577-5309
特設サイト:http://bunkaya.wix.com/bunkayazakkaten

参加者一覧(順不同)
ヒムカシ(p-koen)/日本セパタクロー協会(from Japan)/Coci la elle ひがしちか(日傘作家)/シスター社のハンナ(アクセサリーなどなど作家)/マジック・コバヤシ(m magic kobayashi)/進藤 康隆 しんどう やすたか(ヤマザキショップ上総屋オーナー)/セキ古道具店(美容師・古物商)/津田 陽介(八百屋)/小林千絵子(TETOKA 手と花)/maruse(ショップ&ギャラリーmaruse)/徳永青樹(徳永青樹)/稲盛有紀子(編集者)/嶺川貴子(ミュージシャン)/牛抱 幾久真(幾何)/加藤博久(BOOKS+コトバノイエ)/田中良平(切り絵アーティスト他)/吉原和雄(顧問)/J-COOK(カフェ&レストラン)/滝口悠生(小説家)/松田義人(編集者・ライター)/中西俊夫(ミュージシャン)/ニマ(元ハガキ職人)/紺野浩晃(中華ひかり)/手塚敦嗣(アーティスト)/青木 政宜(有限会社 開青社 代表 幼稚振興会 会長)/吉川徹(クリエイティブ・ディレクター)/山下佐恵子(CoolKlothes代表)/橘房図(ヘアメイク)/ナガオカケンメイ(デザイン活動家)/平川弥香(GomiKontonStore)/箕浦建太郎(画家)/aho aho/中嶋大介(アーティスト)/mosaki(クリエイティブユニット)/カイヅカヨウコ/スチュアートムンロ(innit)/パウロ野中(占い師)/奥村乃(サーファー / t a t a m i / hotoke antiques)/長谷川迅太(古物じんた)/信州のマダムヒューチャー Artist MINA(ファッション着物部 ANi:M(アニーム)/デザイナー)/ペチャコ(手芸家)/どりかむショップ((株)/どりーむずかむとぅるー)/長谷川未応子(古物じんた)/傍島 悠次(プライベートスタジオ主催)/佐々木暁(神保町)/中村たまを(神保町)/ジュンコ&アキコ(おきゃんアート作家)/齋藤元子(神出鬼没)/あづさ(大学生)/岡篤郎(弁天千葉)/立石和浩+宮本英一(scart)/(編集者、アートディレクター)/セクシーキラー(浅草橋天才算数塾主宰)/中塚吐夢((株)/中塚広告事務所代表、レコードコンビニ常連)/Sakamoto(美容マーケター)/日本人と中国人(相澤樹・張宝哲)/平井啓司(古書マニア)/長谷川義太郎(文化屋雑貨店ボス)/内田美貴子(フリーランス雑貨プランナー)/花すけ ジロケン(目黒の小さな花屋)/佐藤直樹(asyl)/トースティー(CP)/島崎夏美(元文化屋雑貨店看板娘)/橋詰和幸(映像業)/+鈴木久美子(マカロニ刺繍、編集者)/サマタマサト(アートゥーニスト。)/佐藤亜沙美(デザイナー)/REX KO(香港文化屋雑貨店&Luddite)/須藤幸恵(編集者)/安達純一(元広島文化屋雑貨店主)/関 徹郎(有限会社トンキン・スイートパラダイス主宰)/岡村詩野(音楽評論家)/林大樹(「ARiSE COFFEE ROASTERS」オーナー焙煎士)/浅見隆行(株式会社蛇善代表取締役)/松野弘(暮らしの道具 松野屋)/株式会社テンプリント営業3部(やさぐれ会社のはぐれ部署)/中川和彦(スタンダードブックストア代表)/松本弦人(グラフィックデザイナー)/館林香織(陶芸家)/岡啓輔(建設家)/迫田英明(Landscape designer)/牛窪 妙子(「RECTANGLE(レクタングル)/」デザイナー 兼「Cow’n(カウン)/」共同オーナー)/92115(デパガのヤカラ)/服部 滋樹(クリエイティブディレクター・デザイナー)/dot.(元STYLIST 鈴木順子)/宇野新治(阪急阪神百貨店趣味雑貨営業統括部長)/長谷川 踏太(クリエイティブ・ディレクター)/角田 純(アートディレクター、美術作家)/細谷昌宏(株式会社細谷商店)/岸野雄一(スタディスト)/成浩一(神宮前bar bonobo店主)/網野奈央(編集者/torch press)/宮崎尚義(元a store robot)/上野雄次(花道家)/秘密博士(ムードコーラス研究家)/絹田ラメ(元文化屋雑貨店)/武田秀雄(俳優)/婦人倶楽部婦人A(佐渡)/松井 さとみ(紙切り隊チョキーン)/志村朱梨(CHAOZデザイナー)/勝見 淳平(パラダイス・アレイ)/little thing magazine/shop(Jason &timmy publisher &chief editor)/吉田アミ(音楽・文筆・前衛家)/沼田元氣(東京生まれ、ポエムグラファー(写真家詩人)/最後のアングラ芸術家)/室賀清徳(編集者)/小出由紀子(アートディーラー)/元倉眞琴(東京芸術大学名誉教授)/ロンロ(組長)/Karl Hyde(Underworld)/堀越絹衣(スタイリスト)/池上和隆(元文化屋雑貨店大阪)/高橋孝治(デザイナー)/奥井真紀子(日経トレンディ編集OG)