HAPPENING 2016-17AW “SILENCE” -THE OCCULT-

”日本のファッションシーンを変えたい”という思いから動き出したプロジェクトチーム「HAPPENING(ハプニング)」。

毎回既存とは異なる方法でファッションを表現しており、コレクションのジャックや、街中でのゲリラショー・凱旋など、東京におけるファッションパフォーマンスを再構築している。

今回で5回目の発表となったHAPPENING の2016-17 AUTUMN&WINTER COLLECTION 。タイトルを“SILENCE” -THE OCCULT- とし、東京メトロ・銀座線を舞台にゲリラショーを行った。

”街を実験場としてファッションの持つ力が今という瞬間を人々の記憶にどれだけ残せるか? 雑路な街の日常にどれほどの緊張感と静寂をつくれるか? ”というテーマのもと、”オカルト”(神秘的な隠れて見えない力の現象)と題したコレクションは、”街を通じてたくさんの人にファッションの自由な発想が人々のひらめきの思考にたどり着き、その記憶が未来にどのようにつながっていくか?”という疑問を実験的に投げかけた。

なお、参加デザイナーは、KOSHIRO EBATA/TAKUMA/KUNIO KOHZAKI/MEGMIURA/TAKESHI SATO/MOTOHIRO TANJI の6名となっている。

 

アートピースのようなルックが、突然日常に介入する突発的な意外性。日々その場所を通る人、たまたま居合わせた人が混在する”駅”という当たり前の場に、予想を超えるファッションが現れた時のインパクトは、人によっては困惑し、またある人にとっては新たな記憶や初期衝動となる。

ファッションやアートから受ける力の強さは、好きな人ほど大きいもの。普段は”今から見る”という準備なしでは向き合えないほど、エネルギーが必要となる。そんな前準備なしに露わにされるクリエーションと、対峙してしまった人の化学反応こそ、今回のショーの狙いだろう。

その反応は、あんな服が作りたい、普段の服を変えたい、もっと美しいものを見たい、というものなのかもしれないが、自身の中で咀嚼しながら時を経ても記憶に残り続ける。毎回多くの人が見る場所で、ファッション関係者以外へもアプローチをしているHAPPENING。大多数へ向けながらも、1人1人へのインパクトを重視しているような偶然性の演出は、メンバーにもかつてあった”ファッションに触れるきっかけ”を作ろうとしているのかもしれない。デザイナーしかり、受け手しかり、個の持つ無限の可能性を信じることが、大きなうねりへと繋がっていく。


(写真はショー後の展示会より)

HAPPENING(ハプニング)
2014年にスタイリスト 伏見京子が中心となって発足し、メンバーにはファッション批評家 平川武治やジャーナリスト 生駒芳子なども参加。最終目的は、日本のファッションデザイナーを世界へと繋げる新たなプラットホームとなり、アジアのデザイナーを結集した「ASIA COLLECTION」 を開催することとしている。
http://your-happening.jp/