【INTERVIEW】イラストレーター・グラフィックデザイナー SAKI OBATA(小幡彩貴)個展「冬から春」開催

【INTERVIEW】イラストレーター・グラフィックデザイナー SAKI OBATA(小幡彩貴)個展「冬から春」開催

イラストレーター・グラフィックデザイナーとして活動中のSAKI OBATA(小幡彩貴)の個展「冬から春」が、原宿のギャラリー・ルモンドで、5月9日(火)~5月14日(日)まで開催中。

今回の個展では、”​何度か巡ってきた季節のいつかの温度や匂い、風や日の差しかたを感じて思い出すことをずっと大事にしていこうと思います。”というコンセプトのもと、季節の移り変わりを、生活の中の何気ない1コマに焦点をあて、優しい視点とタッチで切り取っている。そんな個展について、また作品作りについてお話を伺った。

【INTERVIEW】イラストレーター・グラフィックデザイナー SAKI OBATA(小幡彩貴)個展「冬から春」開催

個展「冬から春」
—今回の展示会のテーマはなんですか?
個人作品では季節をテーマにしていて、今回は冬から春のことについて描きました。自分の生活が絵に出ることが多くて、音とか匂いとか、そういう目に見えないものを描くようにしています。

—絵にストーリーはありますか?
歩き食べの絵は、季節の食べ物を書きながらそれぞれの背景を考えています。冬のおでんは仕事のお昼休憩中、春のホトケノザは学校からの帰り道、といった感じです。

【INTERVIEW】イラストレーター・グラフィックデザイナー SAKI OBATA(小幡彩貴)個展「冬から春」開催

—食べ歩きじゃなくて、歩き食べというのは?
食べ歩きは、旅行で商店街を歩いてするイメージですけど、歩き食べは、もっと行儀が悪いというか。私は歩いて食べるのが好きで、やっぱり季節の食べ物は、外で歩いて食べるのが一番最高だなぁと。

—日常を描いてますが、映画のワンシーンのような印象もあります。
覗いている視点が好きで、第三者が遠くから見ているようなシーンの切り取り方をよくします。それがカメラの位置のようで映画的なのかもしれないです。

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—風景は実際にあるものですか?
実際にある風景がもとになっていることが多いのですが、背景や細部を変えてしまうことが多いです。例えば今回描いた野球少年の絵は実際には公園で見た風景なのですが、背景は河原に変えています。

—シーンの選び方は?
普段の生活の中で気に留まることを絵にしています。例えば、夜の体育館の近くを通ったときに、これだっ!て思いました。体育館で上履きがキュッキュッってなる音をイメージして描きました。これは地元・山梨の緑が丘の体育館のイメージです(笑)。

【INTERVIEW】イラストレーター・グラフィックデザイナー SAKI OBATA(小幡彩貴)個展「冬から春」開催

作品作りについて
—線が印象的ですが、作品作りはどのように?
今回はすべてシルクスクリーンで仕上げました。最初は紙にGペンで描いて、それをスキャンしてパソコンで原稿を作り、業者の方に製版してもらい、自宅で刷りました。最後にグレーのスクリーントーンというシールを貼って完成です。これは漫画家が使うものなんですけど、カッターで切って上に貼り付けてます。

—Gペンとは?
漫画を描くときのペンで、インクをつけて使います。当初、漫画家に憧れて揃えた道具が、Gペンとインク、漫画用の原稿用紙で、今もそのGペンで原画を描いてます。

—描かれている人に年齢感がない印象があります。歳などの設定や表情はどうやって決めていますか?
下書きの下書きに走り書きで、性格や家族構成の設定をすることがあります。そこから人物像を想像すると表情が自然と出てきたりします。

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—ミニマルなのに個性がある。これが不思議なのですが、描く上で気を付けていることは?
目に見えない情報を伝えられるようにというのを考えて描いてます。例えば絵に登場する人の人柄や、その場所の気温や風の感じ、匂いなどです。

—作品では線が最低限に留められていますが、それは作るときに工夫しているんですか?
黒の部分と塗りの部分と、白い部分のバランスがよく見えるように心がけています。描いていって減らしたり、一番最初に鉛筆で描いて、足したり引いたりして決めます。なので、すごい消しゴムが汚いです(笑)。去年消しゴムがなくなる瞬間を見て、消えた!と感動しました。だいたい消しゴムは途中でどこか行って無くなるのですが、最後まで見届けました。

—無駄なものがないのに、想像するための情報が多いという印象がありますが。
情報はいろいろ入れるようにしています。人を描くときにも、1つのことだけでなくたくさんのことを同時にやってる人を描くのが好きです。手を下ろしているだけの人を描くのは苦手で、動いていたり、手に何か持っていたりすることが多いです。

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—描くのが好きなパーツや場面はありますか?
足の形を人によって変えて描くことが好きす。運動してきた人の足とか、文化系の足とか、シンプルな線の中でキャラクターの個性を出せる部分だと思います。

—モノトーンにこだわりはありますか?
単純に色を使うのが苦手なところもありますが、青だったら寒い、オレンジだったら暖かいといった色のイメージも白黒で表現できるのが面白いです。前回の展示のDAWNというシリーズでは白黒プラス1-2色での表現にも挑戦していて、白黒より光の加減を調整できる幅が広がって面白かったです。

—オリジナリティ、自分のスタイルは何かありますか?
人となりが見えるような絵、というところが自分の強みだと思います。

小幡彩貴 個展「冬から春」
会期:2017年5月9日(火)~5月14日(日)
時間:12:00~20:00(火-土)/12:00~17:00(日)
会場:ギャラリー・ルモンド(L’illustre Galerie LE MONDE)
住所:東京都渋谷区神宮前6-32-5 ドルミ原宿201
入場:無料
URL:http://www.galerielemonde.com/

SAKI OBATA(小幡彩貴)
illustrator / graphic designer
2009年桑沢デザイン研究所総合デザイン学科卒業。2010年~2014年有限会社ナノナノグラフィックスにてグラフィックデザイナーとして勤務の後、現在フリーランスのイラストレーター・グラフィックデザイナーとして活動中。「美術展の手帖」(小学館)装画・挿絵や、その他雑誌、書籍等でもイラスト、デザインを手掛けている。個人作品では季節をテーマにイラストを描いている。
URL:https://www.obatasaki.com/