コラージュアーティスト・アートディレクター Q-TA(キュータ)個展「Cue!」開催

【INTERVIEW】コラージュアーティスト・アートディレクター Q-TA(キュータ)個展「Cue!」開催

シュールでポップなコラージュ作品で世界中から注目を浴び、GUCCIのアートプロジェクト「#GucciGram」にも参加したコラージュアーティスト・アートディレクターのQ-TA(キュータ)。そんな彼の最新の個展「Cue!」が、東京・御徒町 mograg gallery& Aquvii AAT SHOPで、8月27日(土)まで開催中。

コラージュ作品はもちろん、写真、立体を多く取り入れ、アートディレクターとしてのクリエイティブをより強く打ち出した今回。連続性が今を作り、明日の事を考えている瞬間が一番楽しいというQ-TAさんに、個展について、そして自身のクリエイティブについてお話を伺った。

コラージュアーティスト・アートディレクター Q-TA(キュータ)個展「Cue!」開催

個展「Cue!」タイトルの意味は?
今回はディレクションをメインに行い、周りの人を巻き込みながら作り上げるクリエイティブをしているので、きっかけ,手がかり,合図という意味と、名前のQの意味も込めています。

展示の内容は?
コラージュアーティストとはガラっと印象を変えて、写真、立体を多く展示していて、コラージュの手法そのものではなく、コラージュの感覚を伝えられたらいいなと。実験的ではあるのですが、シュールからカワイイものまである作家としての幅を、アートディレクターの現場を通して見て欲しいですね。

コラージュアーティスト・アートディレクター Q-TA(キュータ)個展「Cue!」開催

なぜ写真や立体を?
ファッションやモデルを見て、素敵!かわいい!となっても、それがどういう仕組み、プロセスで成り立っているかを感じてくれればと思ってます。いつもはビジュアルだけで終わるところを、今回は撮影で使った実際のアイテムも展示していて、いろんな人が関わってできていること、それがタイトルのCue!の意味でもある”きっかけ”になれば嬉しいです。

SNSで発表する作品との違いは?
ネットではどうしても一枚一枚見ることになるので、ここでは中に入って見渡して、色んな角度から空間を感じて見て欲しいですね。

コラボレーションはどのようないきさつですか?(インテリアスタイリスト 山口友里/日本画家 Too Hajimu/イラストレーター せきやゆりえ)
普段ファッション作品で関わる仕事仲間や、純粋に絡みたいと思っていた人達です。
発想は自分からだけど、どんなものが返ってくるのか、どういう変化が生まれるか、それもコラージュ的な発想ですよね。何を作ろうじゃなくて、何と何をどう組み合わせようって。仕上がりはもちろんですがそこにたどり着く過程を楽しんでる。

コラージュについて
1920〜70年代のアンティーク雑誌が素材と聞きましたが。
年代はいろいろです。もっと古いものもあります。その中でも60年代の雑誌の印刷の質感が好きで好んで使用しますね。そういった昔の雑誌や古書以外にもネット上で昔の写真を引っ張って来て使うこともあります。ここだけの話、使ったらまずいでしょっていうのも使います、バレないように(笑)それがあるから面白いっていう。そのまま使うわけでもないし、有名なものでも一部だけを全く違う使い方をする、その工夫に面白さを感じるし、そこにセンスが要求されるんです。でも今回の展示では、写真作品が多く、あまりアナログの作品が少ないんですけどね。なので次回はまたアナログオンリーの展示会も考えています。

コラージュを「他人のふんどしで相撲をとる」とも表現していましたね?
そうですね(笑)他人のふんどしでも綺麗な相撲、面白い相撲をとれば、見てる人はふんどしが誰のであったかなど関係なく喜んでくれるんです。ただ、他人のふんどしで相撲をとるなら、本当に皆が喜ぶような相撲をとる、座布団が飛び交うような相撲をとるという責任があるんです。それを申し訳なさそうにつまんない相撲とってたら、誰も喜ばない。ふんどしを貸してくれた人にも申し訳ない。なので、土俵入から堂々としていたいですね(笑)

作家性について
幅広い作家性というのは、すべて自身がしたい表現から来るのでしょうか。
敢えて興味を引かせるように意図的に幅を動かしているのもありますね。自分はこれがやりたいというよりも、そこに人がいるのであればそこに合わせて表現をっていう。

自分の周り360度の人達に伝われば、でっかい円になるんじゃないのっていう。そういう自由な作家性なので、明日は何やってるかわかんない。その意味では今回の展示はひとつの基準になると言えるかもしれません。

作家というと、自分の主張が強い印象もあります。
我を通すというのは、もっと違うところで表現すればいいし、表現を狭めるような我であれば、自分がもったいないなっていう。

それよりは、人を納得させる、人の気持ちを動かす仕事は何かを考えていて、自分の場合は作品じゃなくて、仕事で、その過程で人を動かしたい。スタッフと色んな話をして、喧嘩もして、そのコミュニケーションを取る事が次の作品に活きてくるし、ネットでアップするのもリアルタイムに表現を感じてもらって感想もらったり、その瞬間を重ねてなにかもっと違う形にしていきたいんです。

瞬発力ですよね。いろんなことをやりたいんで、楽しみながら障害物競走しているような感覚です。バランスもとるし、くぐるし、ジャンプもするしっていう。

ネットでのコミュニケーションで言えば、2011年からインスタグラムで発表しています。それによる変化は何かありましたか?
世界と繋がったというのが一番大きいですよね。そう思ったのがここ1年。海外からクリエイティブを求められる連絡が来るようになって、グッチだったりディズニーが普通に見てくれるんだ!インスタすげー!って(笑)

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クリエイティブについて
何から影響を受けていますか?
アート的な話だと、コラージュとかシュルレアリスムは好きですが、感覚的に影響を受けたという意味ではミニマルアートです。最小限に要素を抑えて、そこでなにかを表現するっていう感覚はすごく持っていて。自分の作品ってすっきりしてるんですよ、ぽーんと置いて余白があるっていう。

コラージュって切って貼って行く作業なんで、みんなぺたぺた貼るんですよ。でも貼り過ぎが嫌なんですよ。手数をどれだけ少なくするか、背景もなしでいいよっていう。そは各自それぞれが想像すればいいし。

作品には全体としてずっと見ていられる中毒性があります。
さっきのミニマルっていうところのシンプルさだと思うんですよ。情報がわーって入ってる作品は一瞬すごいなと思うんですけど、見続けられるかっていうとその作品が100%の表現なんでこっちは受け入れるだけ。自分の作品はだいたい70%で、あとの30%は見る人が自由に発想して考えてっていう。だから見ていられるし、それを意識して余白を作っています。

コラージュアーティスト・アートディレクター Q-TA(キュータ)個展「Cue!」開催

手を動かしながら感覚で作って行くという製作プロセス。大事にしていることは?
何を作るかではなくて、今やろうとしている衝動の部分が明確になっていることが大切です。あとは感覚があれば外れはないんで。

例えば、表現が変わるかもしれないんですけど、コラージュをやろうと思っていても最終的には写真になっているかもしれない。だけどその写真は出来上がりとして遜色ないと思うんですよ。根本がぶれてないから。

自分が持っている根本的な感覚を信じて、それを紡いで行く。だから楽しいし、飽きずにできる。自分でもどこに着くかわかんないんで楽しめるんです。

クリエイションで楽しい瞬間はいつですか?
何かを作っている時に、絶対に今作っているものとは関係ないものが思い浮かぶんですよ。
例えば撮影でも次はあれを撮ろうと思い浮かんで、その瞬間が一番テンションが上がって、その繰り返しですね。今、目の前のことを頑張ってやろうじゃなくて、今やってる最中に次のことがぱっと浮かんで、そのテンションで今のことができるみたいな。

それがあるから終わりはないし、今日はこれをやったらおしまいという感覚がなくて。インスタでコラージュを続けてたのも、作ってる最中に明日何作ろうとか、その連続性の中で今があるんで、明日の事を考えてる瞬間が一番楽しいです。

コラージュアーティストとしての独自性と、アートディレクターとしての客観性。作ることへの意識と、見せる事への意識ともいえる、このふたつの視点のコラージュこそ、Q-TAの世界観と言えるかもしれない。そして何よりも本人が楽しみながら作り出す”連続性とバランス”は、計算を意識させない、ポジティブな中毒性を生み出している。

個展「Cue!」
期間:2016年8月19日(金)~8月27日(土)
時間:13:00~20:00
会場:mograg gallery& Aquvii AAT SHOP
住所:東京都台東区 元浅草1-5-1
入場料:無料
URL:http://mogragaquvii.com/