テーマは「PLASTIC CITY」。
オーストリア生まれのプロダクトデザイナー エットレ・ソットサスのプロダクトや、80年代に彼を中心に結成されたデザイナー集団 メンフィスが提唱したポストモダンから着想を得ている。
「おもちゃのようなプラスチックで出来た、アナログな未来感を表現した」というコレクションは、フェイクファーや合皮など、敢えて”ニセモノ”の素材を使い、ビニール素材を刺繍するなど、素材の違和感を楽しんでいる。
実際にメンフィスが当時発表した家具コレクションを見ると、カラフルでデザインが多すぎる印象を受ける。過去に描いた未来像は、今のシンプルで無機質な流れとは程遠く、それが滑稽でもあり、人間味を感じられる。
今回のコレクション製作でも、たくさんのテキスタイルを実際に産地で見て、作り手と対話しながら新しい可能性を見い出した。それはフェイクファーの色ごとに異なる収縮率を使ったり、透け感と暖かさを兼ね備えた織り素材であったりと、確実に手の仕事が入っている。
ポストモダンのプロダクトに対して、デザイナー 勝井・八木氏は、”現代文明の漂流物”と表現しているが、それはいつの時代でも見方によってデザインは楽しむことができ、無機質な表面でもアナログな人っぽさを垣間見るゆとりがあることを教えてくれている。
Text Koichi Kondo