旅行の目的として、名所や有名店を訪ねることはもちろん楽しいもの。けれど、人と出会ったり、その土地の空気をより感じるには、地元のショップや古着屋を巡ることをお勧めしたい。それは時に、気軽な旅行を忘れられない旅へと変えてくれる。
今回は福井県の福井市で訪れた、築66年の古民家をリノベーションしたセレクトショップ BENTO と、地元のコミュニティーとなっているカフェ&バル FLAT Kitchenを紹介します。
築66年の古民家をリノベーションしたセレクトショップ「BENTO(ベント)」
福井市照手の閑静な住宅街にあるセレクトショップ「BENTO」。外観・内観ともに時代を感じさせる趣きがあるお店は、築66年の古民家をリノベーションしている。店内は、時を経て味を増した柱や、日本家屋らしい規則的な格子が心地よく、以前は米屋だったこともあり、元々湿気らないための作りなのだろうか、広々と開放感に溢れている。
アイテムは、ファッションのみでなく、民藝の器や生活道具、食品も扱い、暮らしを豊かにする品揃え。それは店名の「BENTO」と通じていて、毎日のお弁当のように、いつも扉を開けることが楽しみなお店になればという思いが込められている。
1階は、食品や生活道具、民藝の品が並び、休憩ができるようにとテーブルと椅子も用意されている。だしや塩、醤油などの調味料に、ジュースやコーヒー・紅茶などの飲み物、ピクルスやピーナッツバター、シロップに加え、今の時期にぴったりな鍋のセットも。季節を感じながら食をさらに楽しくするアイテムは、日本各地からセレクトしており、徳島出身の店主・片山さんらしく、四国のものも多く扱っている。
2階は、まるっとファッションに変わりレディース・メンズどちらも用意。中でもYAECA(ヤエカ)、DIGAWEL(ディガウェル)は、かなり充実しており、県外から来るファンも多いとか。また、こだわりの共感や、知ることもファッションの楽しみのひとつで、素材から現地の人と共同で作っている「THE INOUE BROTHERS(ザ・イノウエブラザーズ)」や、テキスタイル産地の強みを活かした「LOCALINA MERIYASU(ロカリナメリヤス)」や「BATONER(バトナー)」などのファクトリーブランドもラインナップ。バッグでは「BACH(バッハ)」などの実用的かつ機能的なものまでカバーしている。珍しいものが目立つ靴は、神戸のアトリエにてハンドメイドで仕上げている「VIEILLE(ヴィエイユ)」や、デザイナー小島氏と職人が作り上げる「forme(フォルメ)」など、以前靴屋だった片山さんのこだわりが垣間見れる。
最後にBENTOへの行き方を。福井駅西口のバス乗り場から、すまいるバス(照手・羽足方面)に数分乗り、「照手一丁目」で下車(¥100/片道)。バスの進行方向に1分ほど直進すると右手にお店が見える。
ただ、行きはバスで行ったものの、帰りは歩いてみると、ぶらぶらしながらで駅までおよそ15分ほど。途中に飲み屋街があったりと初めて行くなら街を見がてら散歩してもいい距離だろう。
アットホームな雰囲気に、好奇心をくすぐるアイテム。”買うこと”よりも”居ること”を自然にできるお店は、日常のなかでも貴重な存在。福井に行った際は、いつ開けても楽しいお店「BENTO」に是非立ち寄ってみて欲しい。
旬食材を使った料理とローカルなコミュニティー「FLAT Kitchen(フラットキッチン)」
そしてBENTOのスタッフさんに教えて頂いたのが、飲屋街・片町から少し外れた場所にある「FLAT Kitchen(フラットキッチン)」というカフェ&バル。
ここは、2階がイベントスペースとして、ゲストスピーカーと参加者が対話し学ぶ「SCHOOLING」や、ワークショップなどのイベントも開催しており、ローカル×クリエイティブを日々、発見・発信する地元のコミュニティーとなっている。
料理は福井の旬な食材を使っており、その日の仕入れによってメニューは変わる。また好みや、今食べたいものなど、オーダーによってはアレンジも可能で、通っても初めてでも、季節のおいしいご飯を頂く事ができる。
ちなみに、この日オーダーしたものを紹介すると、
酸味のない濃厚なトマトソースは、上に乗ったマスカルポーネが溶け出すことでコクが出る。とろっとろの牛肉と、時折顔をだすトマトが相まってお酒がすすむ。
お腹が減ったから炭水化物を。あとはミートソースが好きです、というオーダーに「お腹いっぱいにしていきやっちゃね」と、大盛りで作ってくれたミートソースパスタ。大ぶりのひき肉がごろんと転がり食べ応え充分。
これは隣の方が頼んでいたものを、あまりに美味しそうだったので撮影させて頂いた。
この豚のローストを食べていた隣の人というのが、三七味噌の片山さん。クラフトビールならぬクラフト味噌を造っている方で、豆の形が残る手作り感たっぷりの味噌を、足で踏んで作るワークショップなども開催している。
三七味噌
URL:https://www.facebook.com/sannanamiso/
そんな場を切り盛りするのが、フラットキッチン店長の藤原さん。コミュニティーで重要な人の輪を、料理と共に笑顔と軽快なトークで繋げてくれる、料理人兼世話人といえる。なんだか落ち着くなぁと思いながら話していたが、それは福井弁の魅力かもしれない。会った方々の性格もあるだろうが語尾やイントネーションが優しい響きで、集まった人達との他愛ない会話の中でも癒された。こちらは初めましてでもいつのまにか世間話をし、福井のイケてる場所や恋愛話まで酔っぱらいらしい千鳥足トーク。やはりローカルを見たいならローカルな場所へ。ここは間違いなく次の面白さを作り出す人が集まっている。
BENTO
住所:福井県福井市照手2-4-5
営業時間:10:00〜19:30
定休日:不定休
電話:0776-97-5375
URL:http://bento291.com/
FLAT Kitchen
住所:福井県福井市順化2-16-14
営業時間:CAFE/5:00〜18:00、BAL/18:00〜24:00(L.O 23:30)
定休日:火曜日
電話:0776-97-5004
URL:http://www.flat-fukui.tv/
なお今回は伺えなかったものの、福井県内のお勧めのお店を教えて頂いたので合わせて紹介したい。
ataW(アタウ)
元々漆器販売をしていた与十郎というお店がリニューアルしたセレクトショップの「ataW(アタウ)」。
福井県の鯖江市と越前市の境にあり、福井県産の商品を始め、国内外の食器、日用品、家具、デザインプロダクト、鞄、ファッション雑貨、ジュエリー、音楽CDを扱う。見た目の美しさや機能だけでなく、背景にあるストーリーや独自の視点や思想、製作過程、手法に焦点をあて、国、ジャンル、年代問わずセレクト。
住所:福井県越前市赤坂町3-22-1
営業時間:11:00-18:00
定休日:水曜日、木曜日、年末年始(※定休日でも祝日は営業)
電話:0778-43-0009
URL:http://ata-w.jp/
テリフリ
くらしの道具屋「テリフリ」は照ることと降ること、晴天と雨天という意味。最寄りは福大前西福井駅で、暮らしの中で長く使い、付き合っていける道具を選び、毎日を楽しむきっかけを提供する。ワークショップも随時開催している。
住所:福井県福井市文京4丁目9-34
営業時間:12:00-19:00
定休日:不定休
電話:0776-76-5392
URL:http://terifuri.com/