原宿・古着屋 MELANGE(メランジェ)

【INTERVIEW】原宿 古着屋「MELANGE(メランジェ)」

 

おすすめのお店をインタビューで紹介する「Lovery Store」。今回は、原宿の古着屋「MELANGE(メランジェ)」をピックアップ。
”幅広く、自由に洋服を楽しんでもらいたい”という思いのもと、お店のコンセプトは定めず、シーズンごとに今の気分を反映。国も時代もアイテムのジャンルも超え、様々な国から集められる色とりどりの洋服は、とてもエモーショナルでありながら、女性らしさをリアルに表現している。そんなお店について、バイヤーの伴さんにお話を伺った。

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オンとオフ。人に見せない怠惰な部分に女性らしさがある
ここに集まる服はどこか映画に出てくるようなロマンチックさを感じるが、描いている女性像は、身近な人だったり、好きな人だったり、また自分でもあると言う。ただそこには独特の女性観がある。

「どちらかというとバキバキ働いている女性をイメージしていることが多いですね。そいういう人ってお家に帰ったらすごくだらしない部分っていうか、人に見せられないとこがあると思うんですけど、そういうとこを意識しています。やるときはパパッとやって、自分のパーソナルの時間には好きにいるっていう感じの女性ですね」。実際に伴さん自身、オンオフのスイッチが強く、仕事から帰ったら結構なんでもよくなるというように、その怠惰な部分こそが女性の一番人間深いところで、逆に女性らしさでもあるという。
「お店で見たぐちゃっとした感じが自分の家と連動して見えるっていう、生活感は重きを置いています」。店内には、帰ってきて服を脱ぎっぱなしにしたような、ごちゃっとした場所をあえて作り、女性らしさを感じるという怠惰さを含んだ生活感を再現している。

世界各国のリアルさとバランス
買い付けはアメリカに限らず、世界中を巡る。「その土地に見合った服というのが必ずどの国にもあるので、直感的にいいなと思ったものを持って来ています」。

中でも最近面白かったのはオーストラリアのメルボルン。「移民の国なので、アメリカやヨーロッパだったり受け入れ型の姿勢なんですよね。置いている古着だったりとか、コーディネートだったりとか、紙一重というかダサかったりするんですよ。その色合わせるのとか、サイズもメチャクチャなんですけど、それが面白くて。他にも若手ファインアーティストのコミュニティーもあったりして、これから注目されてくる街だと思います」。

その時の気分や時期に合わせ、国・気温・人の感じや文化を交え行く場所を決めるが、大切にしているのはバランスとリアルさだという。「テイスト的にいうと、甘い感じが好きなお客様は多いんですけど、自分は男の子の服を着たり合わせる事が好きなので、そいういうバランスは一応考えつつ、その国の良さって言うのをなるべくリアルに持って来ようと思っています」。

バイイングの国を変えるというのは、いつものルートで効率的に回ったり、なじみのところで買うのと違い、確実にアイテムが見つかるとも限らない。バイヤーにとってはかなりリスキーともいえるが、それはかなり早い周期で変わるという伴さんの好みと、変化を楽しむマインドが現れている。

常に変わっていく魅力
「昔のオートクチュールのドレスを手直ししたものがおばあちゃんから代々受け継がれていたりとか、そういうのは自分も好きで古き良きものには賛同するんですけど、やっぱり変わっていくことに魅力を感じますね」。

何年代のヴィンテージのこれが欲しいというスタンスではなく、今の気分とその国のテイストで再構築すること。バイヤーでありながら絶えず変化を求める編集者でもある。

「時代としては、80’s のユースカルチャーがバッと来たところから今に至るまでにすごく変化してて。その時代のものを自由に再現したり追求することが面白くって。古着屋やってるんですけど、割と新しいものが面白いと思ってます」。

そうして選ばれたアイテムのサイズは圧倒的にデカいか、キッズサイズのピタピタが多い。「お客様の体型もありますが、男の子のものと超フェミニンなものを合わせることで、女性らしさの理想像が出来上がるんですけど、XL以上に大きいシャツとかをお店でノーカラーに切ってリサイズしたり、破ったりとか。どちらかというと大きいものが多かったりします」。それでも、お店の中の空間に入ったときにどういう輝き方をするのか、今の自分の流行なんじゃないかと問いながら、お店との連動を考えるという意識は外さない。

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ライブ感と奇跡的なムーブメント
「洋服以上に、自分の性癖が出ている部分かもしれないです(笑)」という店内は、通常のラックに加え、ごちゃっとしていたり靴が脱ぎっぱなしになっていたりたりと、誰かの部屋のようになっている箇所がある。「その時のライブ感というか、その時いいと思ったものは結構いいんですよ。そいう奇跡的なムーブメントを大事にしてて(笑)」。

また音楽は、「テクノミュージックが今は好きで、BPM早めの朝3時くらいのノリのものが多いですね。自分の好きな海外のお店とか、だだっ広い打ちっぱなしの壁で天井が高いセレクトショップとかすごい格好いいんですけど、そこに洋服が少量かかってて、テクノの音の浅くて音数の少ないのがパッパッパッと流れてるお店にインスパイアを受けています。全然古着とは合っていないと思います(笑)でもそれでいいのかなと思ってます」。

買い物の楽しさは、服自体の魅力だけでなく、その時のテンションの上がり具合も大きい要素。ライブ感とムーブメントという、お店ではあまり聞かないワードには、服だけでは伝えきれない気分という空気を含んでいる。

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ひとりひとりの感性で見て、愛されるお店
「洋服が好きな人が集まると楽しいし、情報交換の場所になるっていうのはもちろんなんですけど、そうじゃない部分。お客様がうちのお店に対して、その人の視点でどう思っているかをもっともっと聞きたいし、そのお客様のパーソナルなことをもっと知りたい」。

大事にしている生活感とライブ感。人と出会うことの楽しさを知る伴さんだからこそ、ひとりひとりとのやり取りを大事にしている。

「その方に対して、今度は似合う服をバイイングして来たいなというのも事実なんですけど、やっぱりひとりひとりのお客様と対等に向き合いたいというか、どういう人がうちのお店に興味を持ってくれて、その服を買ってくれたのかなっていうのを知っていきたいです。目指してるところは、すごく幅広い層の人に知ってもらいたいとか、必要としてもらったら嬉しいですね」。

「ベースは私が作ったこのお店なんですけど、その人の感性の受け取り方でありだと思って頂いて、通って下さったら嬉しいというか。その人のさじ加減で見てもらえて、愛してもらえるお店にしていけたらなと思います」。

絶えず変化し、それを楽しむこと。そして、人それぞれの感性を大事にしているという点も、このお店のポジティブな空気につながっている。変化を楽しみ、自分らしく好きにいる女性は美しい。

【About Shop】
原宿・古着屋「melange(メランジェ)」
原宿・古着屋 MELANGE(メランジェ)変化を楽しみ、自分らしくいる女性は美しい