イラストレーター・喜多村なめろう 初個展「なめろう展」

【INTERVIEW】初個展に挑むイラストレーター・喜多村なめろう

モノトーンのアメコミタッチで、様々な人間模様を描くイラストレーター・喜多村なめろうが、初となる個展「なめろう展」を、池尻大橋のギャラリー RE studioで、2016年6月17日(金)〜19日(日)まで開催する。

会場では、ラブストーリー仕立てになった原画の展示・販売と共に、オリジナルのTシャツやトートバッグも販売。入場料は500円で、特典として本展に合わせて書き下ろした漫画「GAZANDO」を用意する。

人を観察し、時に会話をすることで進む、なめろうのクリエイーション。今回は、誰でも気軽に話して欲しいという思いのもと、お酒の持ち込みも自由という、カジュアルな雰囲気の展示になっている。

喜多村なめろう「なめろう展」

なおストーリーは、「ヒゲ男の悪党アイアンの泥臭く悲惨な末路を描く物語」と「アイアンが、小悪魔ファニーの虜になってしまう美しくピュアな物語」という対極にある2つの物語で構成。絵も内容もキャッチーだが、絶妙な仕草や角度を意識し、ありそうでなかったなめろうワールドを展開。原画と漫画、両方を行き来することで、不思議なまとまりを持った1つの世界として楽しめる仕掛けになっている。

喜多村なめろう 「なめろう展」
日時:
2016年6月17日(金) 18:00-22:00
2016年6月18日(土) 12:00-22:00
2016年6月19日(日) 12:00-22:00
会場:RE studio
住所:東京都目黒区大橋2-6-14川俣ビル2F
入場料:¥500(特典:漫画「GAZANDO」1巻つき)
TEL:03-6804-7852
URL:http://www.re-studio.tokyo/

 

今回は、初個展を直前に控えた、喜多村なめろう氏にインタビュー。個展のこと、イラストレーターを始めたきっかけ、自身の絵について語ってもらった。

■ペンネーム”喜多村なめろう”の由来について教えてください。
あだ名でやるのも恥ずかしいし、どうしようと思っているときに、なぜかAV男優みたいなのが欲しいと思ったんですよ。エロいイラストレーターいいなと思って、ぱっと出てきたのが”なめろう”なんですよね。滑らかの滑に野郎の朗、漢字にするとあれなんで、それをひらがなに。いやらしい名前がいいなって。喜多村は本名からです。

■なぜエロいイラストレーターがいいんですか?
なんか面白くないですか(笑)。別に下ネタがどうとかじゃなくて、僕の中のセクシーな男は、なぜかAV男優とかなんですよ。別に憧れの人とかいないんですけど。AV男優じゃなくてもいるじゃないですか、別にかっこよくないんだけど、やらしいなみたいな。あと昭和の俳優が好きで、昭和くさい感じもいいなと。

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■昭和のイメージは?
とにかくエロいんですよ。それに限るんですよね。男臭いというのわかります、昔の人なんで。今より確実に男っぽいんだけど、その反面、なんかいやらしいな。藤竜也とか俳優は一杯いますけど、今と全然違うんですよね。なんかテッカテカして、ヌルヌルしてて、とにかくいやらしい。そのヌメッとした感じとか、このキャラクターいいな、これになりたいなっていう憧れが自分の中にずっとあるんですよね。

■イラストを描き始めたのは?
幼少期から絵を描くのが好きで。インドア派だったんで友達の絵をひたすら描いていたら、保育園の先生に上手いとねと言われて、それで絵を描くのを好きになりましたね。そこから落書きとか、クラスの日記の表紙を描いたり。

中学でも絵ばっかり描いてました。授業中もそうなので、学歴は中1ぐらいです(笑)。高校でも絵を描いていて、トイストーリーのストーリーの中に彼女を登場させたマンガを渡していたり、別にプロになりたいというのはなかったけど、本当に好きでしたね。

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■イラストレーターとして活動を始めたのは?
幼い時からアメコミが好きで、小学校1年生の頃だったと思うんですけど、96年のフィギアブームでアメコミにはまりました。今で言うマーベルとかのヒーローもの、当時はタートルズとか。

でもあんなに描けるわけないと思っていた。それが、昨年の夏くらいに描いてみようかなと思って、描いてみたらイケるな、イケるかもという手応えがあって。それを機に描き溜めていったら、ちょこっと仕事をもらえて喜んでもらえたんで、本格的にやるのいいかもなと思って、始めましたね。

■これまでどのようなものを描いてきたのですか?
それまでのタッチは全然違って、鉛筆書きみたいな。スケッチや模写、極端にポップなものとか。でも人の表情とか仕草を描くのが特に好きでしたね。人を見るのがクセで。

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■アメコミの絵はどのように習得していったのですか?
最初は模写なんで、適当に選んだ絵を真似して描いていたら、ものすごく楽しくなったんですよね、あれっ?て。自分に酔いしれるじゃないけど、こんなに描ける俺!っていう。

そこからかなり勢い良く毎日描いているっていう感じなんですよね。だから素人なんですよね。絵のノウハウとか知らないし、影の付け方とかもアメコミベースなので。

■描く対象となる人の国や特徴は?
人種関係なく、この人面白いなみたいな、描きたいなと思って描きますね。アジアなりのクセ、むこうの人のクセもあるし。地元が立川で、横田基地が近かったんで、普通に近所に外国人もいたんですよね。アジアの人とか、ブラジルの人とか、いろんな人を見れたんで、環境が面白くて。割と下町っぽいというか、みんな育ちが良くないというか(笑)。そういう人が周りに一杯いたんで、面白かったですね、色んな人いるなっていう。

■小・中・高とずっと野球をやっていましたが、プロを目指していたのですか?
野球はプロは目指してないです、特にやりたいことなかったんで。きっかけは、親父が小学校の時に野球やれって言うんで、それに従ったという感じなんで。夢はなかったんですよね。最近になってやっと夢を持てた感じですね。

本当にとりあえず野球やって、高校までやってたっていう。何考えてるかわかんないと思いますよ、監督とかコーチからしたら。本当にこいつ野球好きなのかみたいな。背番号も欲しくなかったし、試合があっても普通は応援するんですけど、僕は応援したくないなと思って、スゥーって逃げて父兄側で関係者とずっと話してるっていう(笑)。そっちの方が面白かったんで、気になったら知りたいんですよね。絵にも多分影響してるんでしょうけど、人が気になっちゃうんですよね。

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■モノトーンにはこだわりが?
白黒の方が、僕のなかでインパクトがある。黒の影の付き方がおもしろいんですよね、アメコミって。色を塗ると、それが軽減されちゃうんで、白と黒で。大げさに言えば立体感とか躍動感が面白いなと思っています。アメコミって、表紙の絵はカラーなんですけど、中身は白黒。やっぱ白黒の方がかっこいいんですよ。前はカラフルなものが好きだったんですけど、やっぱ白黒がかっこいいんですよ。

■描く人や構図はどのように決めますか?
僕はどちらかというと合成みたいな感じですね。一個の絵があったとしたら、違うものをくっつけて、自分のキャラクターを置き換えて、ちょっと体の大きさを変えたりとか、まだそんな段階なので、頭の中で描いたものはゼロからは難しいですね、まだ。それは言い訳として、素人なのでご愛嬌でっていう(笑)

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■イラストを通して伝えたいことは?
あるっちゃある、ないっちゃない。古いのがすきなんですよね、とにかく。僕自身、全然昭和知らないじゃないですか。バリバリの平成生まれなんで。中学・高校とかで、確実にそのシーンのものがヒットしなかったんですよ。なんか格好良くないなみたいな。

それが映画とか音楽とか聞き出してからどっぷりハマって、特に松田優作のドラマを見て、昭和のイメージ変わったな、暑苦しいのにこんな演技もしてたんだみたいな。で、松田優作の映画とか見だすじゃないですか。そしたら今こんなおじいちゃんおばあちゃんの役やってる人が、若い時こんな役やってたんだみたいな。そこから枝分かれして、今のおばあちゃんがバリバリ脱いでたみないなのが見れて、面白いな面白いなって、昭和にハマっていったんですよね、いつの間にか音楽も昭和っていう。昭和って言っても広いですけど、基本的に70年代、80年代、ちょっと60年代とか、10年で全然違うし、あの辺の世代はうらやましいって思う。

そういう世代・時代の味が好きで、僕自身も味を出したいなっていう。格好良いとかカワイイ、渋いよりも、面白いとか変とか言われるのが好きな側なんで、なんか、味がある人になりたいというか、味のあるイラストを描きたいし、味のある表現をしたいですね。

■自身にとって描くとこは?
描くこと。えーと、唯一頑張れる、没頭できるみたいな。人と合わせることができないんですよ。何かしたいわけでもないんで。とりあえず、自分が一番好きなこと、やれることがようやく見つかったからやってるんで、それがどこまで続けられるかって。でも始まってもないくらいなんで、まだ。

なんか、絵を描くことは考えないでいいとか言う人いるんですけど、すげぇ考えるんですよ。配置とか、全体を見たバランスとも大事じゃないですか。むちゃくちゃ神経使うし、手も動かして。一番時間を忘れるくらい、没頭できるっていう感じですね。

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■絵を描く以外は?
飲みに行ったり、友達と話したりって感じですね。小さいときから飲み好きの親父に連れられて居酒屋とか行っていて。いろんな大人がいるんですよ、嫌な大人とか、いい人とか、どっちでもない人とか。兄弟がいない分、遊べないじゃないですか。だから、人を見てたんですよね、様子を伺ってたんですよ、なんか。

なので今飲み屋に行っても、なんか地元っぽいところが好きで、地元にいたような人が集まるような、場末のとこに行って、知らない人と話したりとか。やっぱ見るのもそうですけど、いい意味ですっげえ変な人と話した方が、なるほどってなるんですよ、インスピレーションというか。こういう展開にしようかなとか、ストーリーにしようとか、こういう絵が描きたいとか、人と接した方がなるかもしれないですね。なので煮詰まったら確実に飲みに行くし、人と会いますね。

■仕事で楽しいと感じる時は?
出来上がった時が一番楽しいですね。描いている時は、「あぁーっ!」とかイライラしたりするんですよね、なかなか綺麗にいかなかったり。調子いい時は「よしよしよし」くらいの感じで。

■それは出来がった時の達成感ですか?
最高なの描けたって感じですね。やっと最高だと思えるようになったんですよ。好きなのはアメコミだけど、自分の絵は好きじゃなかったんです、もともとは。人にあげるのは好きけど、別に自分がもらっても嬉しくないなぐらいの。それもあったかもしれないです、イラストレーターになりたくない、いや無理だなっていうのが。

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■自分の絵が好きになったのはいつから?
それこそ昨年、アメコミを書き出した頃からですね。これイケるって時から。もちろん、上手いとは思ってないんですよね全然。でもやっと好きになったんですよね。自分が描く絵に対して、これ欲しいか欲しくないかっていったら、欲しいっ!てなったんですよ。自分の絵を見て、やっと自分を好きになったというか、自信というよりは好きになったという感じです。

■そこから個展までが早かったですね?
自分の絵が好きになってからは、本当に来たっ!て感じですね。他の人が活動してるのってこういう事かって思ったり。だからもっと高めたいし、うまくなりたいっていうか、味がでるようになりたいってなれたんですよね。唯一打ち込めるんだっていう、だから幼少期から暇さえあれば何か描いてたし、やっぱり好きなんだと思って。

そもそも人に自分の絵を見せたくなかったんですよ。でも見せたいなと思ったし、どうせやるんだったらという感じで個展をすることにしました。結局ずっとやってたのが絵を描くことだから、打ち込めるものなんだと思って。

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■そして、初めての個展
今回、原画の方は男女のラブストーリーなんですよね。さすがに名前なめろうですけど、いやらし過ぎるのはちょっとあれだし、わかりやすいのがいいかなと思って、ちょっと恥ずかしい、ちょっと面白い、シュールもあるしっていう。キャラクター濃いんだけど、やってることは高校生とか学生みたいなデートをしている、そんな感じです。ナンパしてる俺イケてる感を出したり、私ご覧なさいみたいな、ヤングなりの発情ですね。今年の1月からひらすら作品を描いていて、マンガも結構かかってます。

マンガはコミックを見ながら参考にして、主人公は、超硬派なレスラーGAZAN(ガザン)。内容は見てもらうとして、男性化してる女性にこそ見て欲しい。男ってこんなんだよっていう。男性化してるならこれは好きでしょっていう、僕の中では少女マンガなんですよ。

■オリジナリティ、自分のスタイルは?
自分のスタイルはこれからって感じですね、もっとアクの強いスタイルにしようかなって思ってます。例えばエロ描写を増やすとか、なめろうらしいなっていうものをもっと追求したいなって。面白い感じで、バイオレンスなんだけどシュールとかそういう感じですね。もう2回目の個展の構想もあるので、時期はたぶん先で未定ですけど楽しみにしてて下さい。

喜多村 なめろう
イラストレーター。
1990年8月29日生まれ。立川市出身 A型 乙女座
キャッチコピー:真夜中のとっつぁんボーイ

幼少期にアメコミに魅了され、思春期に昭和のカルチャーに感化される。
2015年9月より、イラストレーターとして活動を開始。
色は一切つかわず、あえて黒だけを使用するコトによりキャラクターの愛嬌、 躍動感、インパクトを出すコトを持ち味としている。
同年11月には、『MANUAL』主催の「MANUAL SK8 RESTAURANT」とコラボ。
ウェイトレスとスケートボードをテーマにアメコミのテイストでデザイン。
今回、自身初の個展に挑戦。
https://www.instagram.com/explore/tags/喜多村なめろう/

喜多村なめろう 「なめろう展」
日時:
2016年6月17日(金) 18:00-22:00
2016年6月18日(土) 12:00-22:00
2016年6月19日(日) 12:00-22:00
会場:RE studio
住所:東京都目黒区大橋2-6-14川俣ビル2F
入場料:¥500(特典:漫画「GAZANDO」1巻つき)
TEL:03-6804-7852
URL:http://www.re-studio.tokyo/