中国の若手デザイナーに発表の場を与えるPioneer Fashion & Art Festival「LABELHOOD」が、10月12日から15日まで開催された。ここでは複数回に分けて、同イベントに参加した中国の若手デザイナーのうち、既に国内外で注目を集めるデザイナーや、今後 ”マストで注目”なデザイナーを紹介していく。(文・写真:小山ひとみ,写真一部 LABELHOOD 提供)
「SAMUEL Gui YANG(サミュエル グイ ヤン)」
2015年にセントラル・セント・マーティンズ修士課程を修了した広東省出身のデザイナー楊桂東。在学中、NYのアレキサンダー・ワンでインターンの経験も。ロンドンにてレディース「SAMUEL Gui YANG」を設立し、今年はミラノでも2017年春夏コレクションの展示を開催している。
今季のテーマは「レトロ」。ランウェイではなく、インスタレーションで見せた。中国の古い木製の家具や90年代に使われていたアナログテレビなどが設置され、モデルたちも、インスタレーションの一部として会場に溶け込んだ。
「広東省出身なので、子供の頃から香港や台湾の文化が身近にあった。」と語る楊桂東。香港映画「花様年華」で女優のマギー・チャンが着ていたベーシックなチャイナドレスや日本の着物、草履を彷彿させるデザインなど、東洋テイスト満載。
また、ふんだんに使用されたラバー素材は、光の角度により色の見え方が変わるなど、楊桂東が過去のコレクションでも得意としてきた分野。それらの素材は、帯のようなベルト、ジャケット、ブーツ、長靴、ゴムの糸を手編みしたワンピースなど、各所に使われた。「お客さんには、素材やデザインを身近で見て欲しかったので、インスタレーション形式にした。」と楊桂東。よく見てみると、シャツには丸い飾りが付いていることに気づく。「コインなど何を入れてもいい。小さなポケットとして使ってくれたら。」と遊び心も忘れない。