アジア最大規模のアートブックフェア「THE TOKYO ART BOOK FAIR 2016」

アジア最大規模のアートブックフェア「THE TOKYO ART BOOK FAIR 2016」が、9⽉19⽇まで開催中。

アジア最大規模のアートブックフェア「THE TOKYO ART BOOK FAIR 2016」が、9⽉19⽇(月・祝日)まで開催中。会場は北⻘⼭の京都造形芸術⼤学・東北芸術⼯科⼤学 外苑キャンパスで、アートブックやZINEをつくる出版社やギャラリー、アーティストなど約300組が国内外から集結する。

アジア最大規模のアートブックフェア「THE TOKYO ART BOOK FAIR 2016」

期間中は、アートブックの魅力を多角的に紹介することを目的に様々なイベントを開催。新たな試みとして「世界一美しい本を作る」と称されるSteidl社と設立した「Steidl Book Award Japan」の発表や、毎回ひとつの国に焦点をあて、出版事情や文化を包括的に紹介している「Guest Country vol.2」ではブラジルをフィーチャー。また今年は、キュレーターから編集・評論までジャンルを超えアートを紹介している河内タカ氏がプログラムディレクターとなり、写真、ドローイング、デザイン、食など多彩なテーマのトークショーも展開する。

アジア最大規模のアートブックフェア「THE TOKYO ART BOOK FAIR 2016」

今回の目玉である「Steidl Book Award Japan」は、映画「世界一美しい本を作る男~シュタイデルとの旅」によってますます世界中の注目を浴びている出版社Steidl社の協力のもと、創業者ゲルハルト・シュタイデルがグランプリを選び、受賞作品はSteidl 社の書籍として出版され世界中で流通されるという企画。

ここでは、THE TOKYO ART BOOK FAIR ディレクター 中島佑介氏と河内タカ氏によるオープニングトーク ”「Steidl Book Award Japan」設立に寄せて ”からの抜粋とイベント後のインタビューから、アワードの背景やアートブックの可能性について紹介したい。

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第8回目を迎えたアートブックフェア。回を追うごとに入場者数は増え、前回は3日間で18,000人を動員。継続することで価値が高まっていることを感じ、継続性のある企画として今回の「Steidl Book Award Japan」の設立に至ったという。

ノミネートは700を超え、最終的には540冊のダミーブックの応募に。どれもシュタイデル氏に見てもらいたいという圧倒的な熱量に溢れていたと語る作品は、日本での1次審査はせず、全てを何からしらの形で本人に見てもらうことに。なお会場ではそのプロセスを体感する場として、ランダムに選んだサンプル150冊が展示されている。

※ダミーブック:製品になってない段階の本。作家さんがこういう本を作りたいというイメージやインスピレーションを集めた模型・アイデア帳のようなもの

アートブックの盛り上がり
中島:これだけの応募になったというのは、映画でシュタイデル氏を知っている人が多かったこともひとつ大きく、あとはアートブックを作品として作る、それを表現とする価値観が浸透してきているという背景もあります。

本って絶対失敗できないところがあるじゃないですか、文字間違えちゃいけないとか。その責任感だったりが最終的に仕上がったときに備わるというか、説得力になったりとか。本の形式をしてる=最終的にできるまでのプロセスの中で作家がコミットしている、というのを見た人が感じられるんじゃないかなと思いますね。

河内:客観的に見ても数年でアートブックの質が上がっていると感じていて、普段ポートフォリオレビューもしてるけど、自分で作った本というのは自分の作品を知ってもらうベストなツールだと思う。ライアン・マッギンレーが大学生のときに会っていたんですが、自分で100冊のダミーブックを作って、それを売らずにギャラリーや出版社に送って、それが認められて最初のきっかけになったんですよ。だから本というのは自分の表現を全部詰め込んで外に出すツールとして有効性があると思いますね。

アートブックの未来、可能性は?
中島:ちょうど変わっている時期で、今回も本の可能性を拡張するような作品が応募されています。表現としてこれから面白いものが出て来る時期になってるんじゃんいかなと思いますね。いわゆる斜陽産業と言われる印刷業界とは違う動きというのが、アートブックに関しては世界的にありますね。

拡張とは?
中島:限られている本の要素、例えば綴じられるとか紙を使っているとか、それをどういう風に組み合わせるかというアイデアが、本の可能性を拡張するものなのかなと思います。

アートの視点で、世界と比較した東京の特徴は?
河内:写真業界に関っているんですが、日本ではオリジナル写真は全然売れないんですよ。でも本とかZINEとかはすごい売れる。グッズ感覚っていうか、そこが東京の特徴ですよね。やはりデザインが日本人は優れている。そういうところに共感を得ながら、高いものよりも手作りの1,000円〜3,000円くらいでデザインの優れたものを生み出し、自分たちで買ったり売ったりするっていうのが東京の面白いところだと思います。

あとはギャラリーで自分の作品を見せる機会が少ないので、本とか自分ひとりでできるものを作って友人とかその友人に売ってもらうとか。お金にはほとんどならなくても、少なくともアートギャラリーで見せるよりは現実的に自分の表現ができてますよね。

日本のアートがニッチという話がありましたが、ファッションも同じくです。
河内:特に今、閉塞感強いよね。日本人はどうしても日本の中だけで勝負しようとするからダメで、台湾人とか中国人は割と外に出て行ける。要するに英語がしゃべれる人たちが多いじゃないですか。日本人はまだ弱いんで。だから外国に出た人の方がやっぱり活躍する場が多いですよね、日本でも。言葉って結構大きいのかなって感じていて、僕も外国長かったですけどそれは間違いなくあると思います。

あとは逆に外国の人が今東京に来てるじゃないですか。そこが割といい感じに作用していけば、ジンとかアートブックで外国人とコラボレーションしたり、外国に持って行ってもらって流通させたりとか。アニメとかオタク系のものは外国の人は知っているけど、アート系のものはまだまだ伝わりきれてないんじゃないかな。

THE TOKYO ART BOOK FAIR 2016
会期:2016年 9⽉16⽇(⾦)〜19⽇(⽉・祝)
時間:16⽇(⾦)15:00-21:00 / 17⽇(⼟)18⽇(⽇)12:00-20:00 / 19⽇(⽉・祝)11:00-19:00
会場:京都造形芸術⼤学・東北芸術⼯科⼤学 外苑キャンパス
住所:東京都港区北⻘⼭1-7-15
最寄駅:信濃町または⻘⼭⼀丁⽬
⼊場料:無料
URL:http://tokyoartbookfair.com/